2019年4月30日、NCAAは理事会を開き、NCAAがeスポーツを公式種目として認め大会を主催することの是非などについて議論した。
議論後の投票では、賛成6対反対6で意見は割れた。しかし、eスポーツを公式種目にすることの課題は広く認識されており、現時点での大きな改革は見送られた。
議事録には以下のように記されている。
「NCAAに所属する大学の間でeスポーツは急成長している。その一方、NCAAが受け入れられるようなeスポーツの統括団体あるいはeスポーツを扱う大学スポーツ団体は存在しないのが現状である。理事会は、大学eスポーツがNCAAの価値観やミッションと沿う形で発展するように手を尽くすよう命じる」。
以前Dr. Humlに解説を頂いた通り、eスポーツの暴力的な描写はNCAAの価値観に反する。
また、大会賞金やネット中継を通じて収益を上げることが一般的なeスポーツ選手にとって、NCAAの「学生アスリートは金銭的報酬を受け取ってはならない」という厳格なアマチュアリズムは抵抗がある。
こういった双方の価値観の違いが、解決すべき根本的な問題である。
今回のNCAAの決定は何も革新的ではなかったが、それが間接的に大学eスポーツに新たな動きをもたらしそうだ。
NCAAの理事会から数週間後、League of Legendsの開発者であるRiot Games社が、大学eスポーツの統括団体を設立する方針を固めたのである。
今後の流れとしては、同社が権利を持つLeague of Legendsなどの大学選手権を開催し、その大会参加のために各チームに新団体への加入を求めることが考えられる。
同時に、他のeスポーツ開発者にも交渉し、開催する大会の幅を広げていく努力もしていくだろう。結果的に包括的な大学eスポーツ統括団体となれば、大学eスポーツ界にとって大きな出来事となる。
ちなみに、新団体設立に際しては、カレッジスポーツや大学教育の専門家などで構成される外部諮問委員会も設立される予定だという。
参考文献:
https://ncaaorg.s3.amazonaws.com/committees/ncaa/exec_boardgov/May2019BOG_Report.pdf https://www.sportsbusinessdaily.com/Daily/Issues/2019/05/17/Esports/Riot.aspx