モータースポーツ黎明期、タバコ企業はスポンサーとしてその発展に貢献した。たとえば、キャメルやラッキーストライクといった銘柄を持つR.J.レイノルズは多大なスポンサー料を支払った。
そんなタバコ企業も近年は、スポンサーシップ市場からほとんど姿を消していた。特にアメリカでは、1998年に連邦政府がタバコ製品の広告停止を命じて以来、タバコ企業のスポンサーとしての存在感もなくなった。
ところが最近、タバコ業界では、タールやニコチンを含まない加熱式タバコ・電子タバコが登場した。
これらの新製品に宣伝の制限はない。そのため、タバコ企業が再びスポンサーシップ市場に戻ってきている。
たとえば、前出のR.J.レイノルズは、インディ500に参戦するマクラーレンのスポンサーとして、同社の加熱式タバコ「Vuse」のロゴをレーシングカーに施している。
現在、加熱式タバコ・電子タバコは世界中に浸透しており、その産業規模は2025年までに470億ドルに到達すると予測されている。
タバコ人気の低いアメリカでも、加熱式タバコ・電子タバコ人気は拡大中だ。たとえば、加熱式タバコ・電子タバコを使用する中高生は2017年から2018年の一年間に150万人増加したという。
この拡大する加熱式タバコ・電子タバコ人気が、タバコ企業のスポンサーシップ市場再登場の背景にあるのだ。
昨今、モータースポーツ界は人気低迷や収益減など明るいニュースがない。かつてその興隆を支えたタバコ企業の再登場は、モータースポーツ界の光となるか。
参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2019/04/29/Marketing-and-Sponsorship/Ecigs.aspx