従来IOCは、競技施設を使ったスポンサーシップ活動を一切禁止してきた。
たとえば、FIFAワールドカップではピッチの横にスポンサーロゴが並んでおり、観戦者や視聴者の目に触れるようになっているが、オリンピックではそのような広告は一切排除されている。
このルールは「クリーン・ベニュー(Clean Venue:「きれいな会場」の意味)」と呼ばれ、長らくオリンピックにおけるスポンサーシップの原理となってきた。
2019年3月、IOCのChristian Voigt氏は、同団体がクリーン・ベニューに一部変更を加えることを認めた。同氏によれば、スポンサーロゴがついていることが不自然でない場合に限って、スポンサーはロゴをつけることが認められるという。
たとえば、IOCのオフィシャルスポンサーであるOmegaは、競泳のタイムを測定するためのシステムを提供している。この場合、選手がゴールでタッチする「壁」はOmegaが提供している測定システムの一部なので、同社のロゴがついていても不自然ではない。
競泳選手がゴール後にタイムを確認する姿はテレビ画面に大きく映され、ハイライトやニュースなどでもよく使われる。その映像に自社のロゴが映されるというのは、Omegaにとっては大きな利益となる。
一方で、そこにCoca ColaやToyotaのロゴがあることは「不自然」であるので、引き続き禁止される。
今回のルール変更に関して前出のVoigt氏は「我々は、クリーン・ベニューという原理を尊重しつつ、スポンサー企業の投資に見合った成果を提供したいと考えています。可能な限り、各企業の要望に柔軟に対応したいと考えています」と説明した。
IOCはスポンサーシップの契約金を拡大することを一つの目標としており、今回のルール変更はそのための施策であると考えられる。
参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2019/03/11/Olympics/Olympics.aspx