従来、北米四大スポーツリーグは、ユニフォームにスポンサーのロゴをつけることを禁止してきた。その結果、ファンはユニフォームを神聖なものと捉え、それが企業の宣伝に使われることに嫌悪感を示すようになった。
ところが、NBAはその伝統を破り、2017年からユニフォームにスポンサーのロゴをつけることを許可した。果たしてNBAはどのようにしてこの決定を下したのか。実際にどのようにしてスポンサーシップ営業が行われたのか。そしてどのような結果が得られたのか。この連載で解説していきたい。
NBAは、ユニフォームスポンサーシップ解禁までにいくつかの”テスト”を行ってきた。
まず2009年、女子のプロバスケットボールリーグであるWNBAがユニフォームスポンサーシップを解禁した。WNBAはNBAの傘下にあるため、この決定にはNBAコミッショナーの意見が反映されている可能性が大いにある。
NBAは、WNBAを通じて、ユニフォームスポンサーシップに対するファンや企業の反応を見ることができたのである。

上写真の左は、WNBAのタルサ・ショックのユニフォーム。Orange Casinoとboost mobileがスポンサーで、チームのロゴは左肩に小さくついているだけである。
次に2016年、NBAは、オールスターゲームで初めてユニフォームスポンサーシップを導入した(上写真右)。ここで注目したいのは、WNBAのユニフォームには大きく載っていたスポンサーのロゴが、このNBAのユニフォームでは左肩に小さくついているだけだという点である。
これが、2009年からの検討の末にNBAが導き出した「ファンのネガティブな反応を抑えつつ、スポンサーにとっては魅力的なユニフォームスポンサーシップ」の形なのかもしれない。
そしてこのオールスターゲームから数か月後の2016年4月、NBAは2017-18年シーズンより、ユニフォームスポンサーシップを解禁することを発表した。
ただし、今回の解禁はあくまで「最終テスト」という位置づけである。その証拠に、各チームには「契約は最長で2020年まで」という制約が設けられている。
2017年から2020年までの3年間、NBAはファンの反応とスポンサーシップとしての価値を再確認した上で、改めてこのスポンサーシップを続けるべきかの決定をすることになっている。
参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2009/06/01/This-Weeks-News/WNBA-Deal-Jersey-And-Much-More.aspx
http://www.espn.com/nba/story/_/id/14001676/nba-allow-kia-sponsor-logo-all-star-game-uniform
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