NBAのユニフォームスポンサー② 難航したスポンサーシップ営業

NBAのユニフォームスポンサーシップは、北米では画期的なものであったが、その販売は必ずしも易しいものではなかった。

たとえば、ミルウォーキー・バックス会長のPeter Feigin氏は「クライアントにユニフォームスポンサーシップの価値を説明していますが、その説明に膨大な時間を費やしています。これは従来のスポンサーシップ営業では必要のない作業です」と言う。

各チームがここまで苦労するのには、3つの大きな理由がある。

1つ目は、ユニフォームスポンサーのロゴが小さいこと。

今回許されているスポンサーロゴは最大6.35 cm x 6.35 cm。この小ささでは、スタジアムで見ている観客はおろか、テレビで見ている人もなかなか認識できない。NBA数チームのコンサルティングをしているNavigate ResearchのAJ Maestas氏は「KIAのようにすごくシンプルなロゴならいいだろうが、複雑なロゴをもつ企業はどう評価するか不透明だ」と説明する。

2つ目は、30チームが一斉に営業を始めたこと。

その結果として、スポンサーになりそうな企業には、いくつものチームが同じタイミングでアプローチすることになった。たとえば、ある大手企業には、18チームからユニフォームスポンサーシップの提案書が届いたという。

このような状況で契約を勝ち取るためには、自チームのスポンサーシップが他チームのものよりも魅力的なものであると説得しなくてはならない。一般的なスポンサーシップ営業では、「スタジアムにも広告を出します」、「施設のネーミングライツも一緒に」というようにいくつかのアセットを抱き合わせることでスポンサーシップ価値を上げることができるが、今回のユニフォームスポンサーシップでは、この戦略を大胆に使いづらい。なぜか?

その背景にあるのが、3つ目の理由、NBAが定めた厄介なルールである。

今回のユニフォームスポンサーシップでは、各チームは契約金の50%しかキープできず、残りの50%はリーグに徴収され、30チームに均等に分配されることになっている。

いくつものアセットを抱き合わせで販売してしまうと、リーグに徴収されるお金も大きくなり、他のスポンサーシップ契約で使えるアセットが減ってしまう。反対に、仮に自チームが契約を結べなくても、他チームが稼いでくれた契約金の一部が自動的に入ってくる。

この結果、ユニフォームスポンサーシップの営業は難航した。

参考文献:
https://www.nba.com/2016/news/04/15/nba-board-of-governors-approves-jersey-ads-for-2017-18-season/
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2016/09/26/Marketing-and-Sponsorship/NBA-jersey-patches.aspx
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2016/04/25/Leagues-and-Governing-Bodies/NBA-jersey-ads.aspx

投稿者:

akiraasada

テキサス工科大学スポーツマネジメント学部で教員をしています。専門はスポーツマーケティング。特に、人がスポーツファンになるメカニズムを研究しています。

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