2020年の東京オリンピックが近づく中、USOCのスポンサーシップ販売が低調だ。現在、USOCは20社とスポンサー契約を結んでいるが、そのすべてが東京五輪後に契約切れを迎える。これはUSOCが意図したものである。
アメリカでは、2028年にロサンゼルスでオリンピックが開催される。自国開催の五輪では、スポンサーシップの価値も桁違いだ。ロサンゼルスオリンピックの前にすべてのスポンサー契約を一度まっさらな状態に戻し、改めて交渉することで、よりよい契約を取り付けたい。これがUSOCの魂胆である。
ところが、いざ東京五輪後からのスポンサーシップを交渉しようと思っても、手を挙げる企業がなかなか見つからない。
なぜだろうか?原因は大きく2つ考えられる。
一つは、アメリカの体操協会が起こしたセクハラ問題とそれが消費者の心理に及ぼした影響だ。
企業がオリンピックにスポンサーとして関わる大きな理由の一つは、オリンピックが持つポジティブなイメージを自社のブランドイメージにリンクさせることである。ところが、そのオリンピックが「セクハラ」や「パワハラ」というネガティブなイメージを持ってしまえば、自社のブランドイメージは傷ついてしまうかもしれない。
昨今アメリカでは、体操協会だけでなく、水泳やフィギュアスケート、テコンドーなどでもセクハラ疑惑が取り沙汰されている。ある関係者は「ここ最近アメリカでは、オリンピック関連であまりいい話題を聞きません。人々が協会のスキャンダルの話をしているとき、その話題の中心に自社のブランドを位置づけたい企業がどれほどいるでしょう」と言う。
もう一つの原因は、東京オリンピック後の景気状況が読みづらいこと。
USOCのスポンサーになるということは、複数年に渡って何億ドルという金額を支払うことを意味する。まして今回は、前述の通り、USOCは高額の契約を結ぼうと鼻息を荒くしている。果たして、2028年までそれだけの資金を持っていると確信できる企業がどれほどいるだろう。
企業としては、政治的・経済的な動向がより予測できる状態になってからオリンピックビジネスに絡むかどうかの判断をしたい。一方で、機を逸してしまえば、競合他社にスポンサーの座を奪われてしまう。できることなら早い段階からオリンピックビジネスの戦略を立てたい。この相反する2つの考えの狭間に多くの企業は立たされている。
フィギュアスケート協会のRamsey Baker氏は「2028年にアメリカでオリンピックを開催できることは素晴らしいことだ。ただ一方でそれが話を複雑にしている」と言う。
参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2019/02/04/Olympics/Olympic-sponsors.aspx
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