「米中貿易戦争」と呼ばれるアメリカと中国の政治的対立は様々な産業に影響を与えているが、それがスポーツ業界にも及びつつある。
2019年1月、テニスのWTAはスポンサー契約合意間近であった中国企業との交渉決裂を発表した。
中国ではあらゆる契約に政府の署名が必要であり、この署名を得るのが現状難しいと判断した上での決定ではないかと関係者は見ている。
WTA会長のMicky Lawler氏は「国際的な政治情勢を鑑みて交渉は中断することになった」として、米中貿易戦争の直接的な影響については明言しなかった。
しかしある関係者によれば、合意間近であった交渉が急転したのは中国企業のファーウェイのCFOがカナダで逮捕された翌日であったという(ファーウェイのCFOは、米国の対イラン貿易制裁に違反した疑いで逮捕された)。
スポーツビジネスコンサルタントのMarc Ganis氏は、今回の交渉中断は全く驚きではないという。中国でのビジネスにも携わる同氏曰く「中国政府はほぼすべてのことに関与してくる」と言う。「WTAのスポンサー契約ともなれば国際的な注目も浴びる。これは中国では慎重に扱うべき問題です。これほど大きなスポンサー契約を締結するためには政治的な問題が解決される必要があるでしょう」。
WTAは5社のスポンサー企業を抱えるが、WTAはさらに包括的なトップスポンサーを2012年から探していた。