これまでナイキは、エンドースメント契約を結んだアスリートにある制約を課してきた。それは「ナイキのウェアにはナイキ以外の企業ロゴをつけてはいけない」というもの。
たとえば、錦織圭選手はユニクロのウェアを使用しているが、そのウェアには日清食品のロゴもついている。一方で、ナイキのエンドーサーであるセリーナ・ウィリアムズ選手のウェアにはナイキのロゴしかついていない。
このルールが適応されなかった唯一の例外は、中国のリー・ナ選手。同選手が2011年に全仏オープンを制覇した際、ナイキは彼女との契約を他社に奪われることを恐れて、この制約を解除した。
その結果、リー・ナ選手はメルセデスベンツと巨額のエンドースメント契約を結ぶことに成功し、その後は同社のロゴをナイキのウェアにつけてプレーした。
この度ナイキは、これまで厳格に適応してきたこのルールを緩和させる方針を示した。
たとえば、ナイキが最近契約を結んだ2人の中国人テニス選手は、SAPとGanten(中国のミネラルウォーターブランド)のロゴをウェアに掲載することになっている。
IMGのMax Eisenbud氏によれば、これらの契約によって2選手は、10万ドル以上の契約金を手にしたという。
ナイキとしては、他社のロゴがついていないほうがアスリートとの関係性を強調することができるが、アスリートとしてはこの制約があるせいで逃しているビジネスチャンスもある。
ナイキの今回の決断は、選手により大きな自由を与えることで他社に乗り換えられるリスクを減らす狙いがあると考えられる。