Sports and Fitness Industry Association(SFIA)はアメリカ人のスポーツ参加に関する調査を行っている。同団体が2019年に発表した報告書の一部を下表にまとめた。なお、ここでの「参加者」は、昨年1年間に1回でもプレーした人を指す。

この表からいくつかの傾向が見えてくる。
まず、伝統的に人気のあるチームスポーツの参加者数が増加傾向にある。たとえば、野球は前年から1.5%増の1590万人、バスケットボールは3.5%増の2420万人がプレーしたという。
この増加の背景についてSFIA会長のTom Cove氏は、MLBによる草の根運動「Play Ball」やNBAが主催する「Jr. NBA」が貢献していると分析する。
一方で、タックルフットボール(タックルありのアメリカンフットボール。フラッグフットボールはタックルなし)の参加者は依然減少傾向にある。2018年の参加者数は510万人。これは前年から1.3%減、2年前と比べると6.0%減だ。脳震とうを初めとするケガへの不安が人々の間に広まっていることが関係していると考えられる。
前出のCove氏は、SFIAが考える2つの問題点についても言及した。
まずは、子どもたちが早い段階からプレーするスポーツを絞る、いわゆる「専門化」の傾向が強まっているという。
もう一つは、世帯年収とスポーツ参加の相関が強まっていること。平たく言えば、「金持ちほどよくスポーツをする」という傾向が強まっているということである。
この問題に関しては、他のスポーツ関係者も意見を述べている。たとえば、女子サッカー元アメリカ代表のホープ・ソロ氏は以下のように話している。
「もし私が今の子どもだったら、サッカーはお金がかかりすぎてやらせてもらえていない。サッカーをプレーするためにかかる費用の増大は、ヒスパニック系や黒人系、その他様々なマイノリティからサッカーをプレーする機会を奪っている。サッカーは今、裕福な白人の子どもがするスポーツになってしまっている」。
参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2019/02/18/Sports-and-Society/SFIA.aspx
https://www.usatoday.com/story/sports/soccer/2018/06/28/hope-solo-youth-soccer-united-states-cost/741378002/