2019年1月、タンパベイ・レイズは、本拠地のトロピカーナ・フィールドをキャッシュレスにすると発表した。今後、スタジアム内での飲食やグッズの購入には、クレジットカード・デビットカードが必要になる。
どうしても現金しか持たないという観客は、スタジアム内で販売しているギフトカードを事前に購入してそれを使用することになる。
キャッシュレス化にはいくつかの狙いがある。
まずは、購入の効率化。お釣りのやり取りがなくなるので、会計に要する時間が短縮される。以前の投稿で解説した通り、昨今アメリカのスタジアムでは「より迅速な飲食の提供」がテーマになっており、キャッシュレス化はこの流れに沿った動きと言える。
また、現金をレジに用意する必要がなくなるので、その分の手間も省ける。
最後に、より多くの顧客データを獲得できる。購買を通じて収集したビッグデータを解析することで、より効率的なコンセッション運営に役立てる。
一方で、キャッシュレス化のリスクも指摘される。
アメリカではカードでの購買が一般的とはいえ、カードを持たない人々も一定数存在する。2016年の調査によれば、約25%のアメリカ人が「購買には常に現金を使用している」と回答したという。
特に、社会経済的な地位の低い層は現金を使用する人が多く、キャッシュレス化はそういった層を観戦から遠ざける可能性がある。
さらにこれは「レイズは金持ちにだけ興味がある」という誤った印象を消費者に与えるリスクもはらんでいる。
レイズのパートナーであるE15社のJaime Faulkner氏は「2018年シーズンはテスト期間だった。そこで我々は、ファンが素早くキャッシュレス化を受け入れて、よりよい観戦経験を楽しんだことを確認した」とキャッシュレス化のポジティブな側面を強調した。
参考文献:
https://www.draysbay.com/2019/1/28/18197257/tropicana-field-cashless-analysis-tampa-bay-rays
https://www.abcactionnews.com/sports/tropicana-field-wont-accept-cash-in-2019-first-cash-free-sports-venue-in-north-america
https://www.tampabay.com/sports/rays/2019/01/25/tropicana-field-to-become-cashless-this-season/
https://news.gallup.com/poll/193649/americans-using-cash-less-compared-five-years-ago.aspx
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