ここまで10回に渡って、アメリカにおけるスポーツ賭博の合法化について解説してきた。最終回は、これまで解説してきたことをまとめたい。
まず合法化の動きは、カジノや競馬場といった産業を復活させたいニュージャージー州が2012年に起こした訴訟から始まった。
それまでスポーツ賭博を禁止していた連邦法「Professional and Amateur Sports Protection Act(通称PASPA) 」の公正性に異議を唱えたニュージャージー州の訴えは、2018年5月に最高裁判所によって認められた。
PASPAが撤廃されたことで、スポーツ賭博を合法にするか否かは各州の判断に委ねられた。
現在までに、約10州でスポーツ賭博を認める法案が通り、さらに他の10州も合法化の議論を始めている。
一方、スポーツリーグは、まず政治家に対してロビー活動を行い、自リーグにとって都合の良い形でスポーツ賭博が合法化されるように働きかけた。同時に、スポーツ賭博の運営業者とのスポンサー契約を解禁したり、賭け手数料を徴収することを検討したりと、収益を上げる方法を模索している。
一方で、闇賭け市場の存在と八百長の可能性は依然として大きな問題で、それは特にマイナーリーグやランキング下位選手同士の試合で懸念される。特に八百長事件の多いテニスでは、スポーツ賭博の運営業者とのスポンサー契約を禁止する団体も現れている。
最後に、一連の動きを始めたニュージャージー州だが、同州リゾート地のアトランティックシティでは、2019年1月に1000万ドルの収益がスポーツ賭博で上げられ、カジノ全体の収益は前年比で20%増であった。
参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2018/09/03/Leagues-and-Governing-Bodies/NFL-gambling.aspx
https://www.mcall.com/news/breaking/mc-nws-new-jersey-sports-gambling-20190213-story.html
https://www.pressofatlanticcity.com/news/breaking/casino-gaming-revenue-up-nearly-percent-in-december-nearly-percent/article_614ea209-56e4-56d6-9a7e-1c974b1a00d6.html