2018年5月の最高裁判決後、スポーツリーグはどのように動いたのだろうか?
まず、NBAとMLBは、すぐさま政治家たちに対するロビー活動を開始した。つまり「スポーツ賭博を合法化する法案を通してくれませんか?」というお願いをして回ったのである。これに少し遅れたが、NFLも同様の動きを見せた。NHLはこの動きには加わらず、独自のアプローチを試みた(各リーグの動きの詳細は次回以降詳しく解説します)。
スポーツリーグがスポーツ賭博合法化のお願いを始めたのにはいくつか理由がある。
まず、法を整備することで、合法と非合法の区別を明確にし、ギャンブル市場に秩序を持たせることができる。
スポーツ賭博に関してスポーツリーグが最も恐れているのは、ギャンブル運営業者が選手に働きかけて八百長をさせる可能性である。
法が未整備だとそういった動きを効果的に取り締まることが難しい。一方で、昨日説明したように、州がスポーツ賭博に関する法律を制定すると、ギャンブル運営業者に免許取得が義務付けられる。これによって、いかがわしい業者がスポーツ賭博に関わろうとするのを防ぐことができる。
スポーツリーグがスポーツ賭博合法化の働きかけをするもう一つの大きな理由は「新たなビジネスチャンスを創造するため」である。
具体的には、以下の2分野で好影響を期待する。
1つ目はスポンサーシップ。これまで多くのメジャーリーグ・チームは、ギャンブル関係の企業(カジノやブックメーカー等)をスポンサーにすることを禁止していた。スポーツ賭博が合法になることで、そのような制限が取り払われる。
スポーツ賭博が一般的であるイギリスでは、プレミアリーグの20チーム中9チームのユニフォームスポンサーがブックメーカーで、EFL Championshipでも24チーム中17チームがユニフォームにブックメーカーのロゴをつけている。また、ロシア・ワールドカップでは、試合中継の合間に流れたテレビCMの約20%がブックメーカーのものであった。
もう一つが、観戦経験の向上によるファン拡大。ただ試合を見るだけでは飽きてしまう人も、自分がお金を賭けることでそのチームを全力で応援するようになる。結果として、より試合を楽しむようになり、ファンの拡大につながる。これがスポーツリーグ・チームが期待する効果である。
参考文献:
https://www.si.com/nba/video/2015/10/02/nba-commissioner-legalize-federal-sports-betting-david-stern-adam-silver
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2017/11/27/Law-and-Politics/Gambling.aspx
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2017/12/11/Law-and-Politics/Gambling.aspx
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2018/05/21/Law-and-Politics/Gambling.aspx
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2018/07/23/Opinion/SCOTUS.aspx
https://www.wsj.com/video/nba-adam-silver-on-why-he-supports-legal-sports-betting/27DC4F82-D2D1-4890-AF3D-C551375620A2.html
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