スポーツ賭博② 最高裁判決の背景

2017年12年、最高裁判所はニュージャージー州の主張に耳を傾けた。そして2018年5月、スポーツ賭博を禁止してきたPASPAを無効とする判決を下した。

この判決に関してネバダ大学ラスベガス校のTony Cabot教授は以下のように説明する。
「最高裁判所は別にスポーツ賭博に関して意見があったわけではない。彼らは、このケースを通して『国が州の権利を制限している』という問題を扱いたかったんだ。それがたまたまスポーツ賭博に関する法律だっただけだ」

前回の投稿で「PASPAがスポーツ賭博を禁止してきた」と説明したが、正確にはPASPAが直接国民に影響を与えていたわけではなく、PASPAが各州にスポーツ賭博を禁止する法律を制定することを義務付けていた。この「国が州に義務付けていた」という点が最高裁判所の興味を引いたというのである。

アメリカ合衆国憲法には国と州の関係に関して記した条項(第10条)がある。その内容を簡単に言うと「憲法に明記されていないことに関しては基本的に州が決定権を持つ」というもの。この条項があるおかげで、アメリカ国内でも州によって法律が異なることがしばしばある。

たとえば、マリファナの使用に関して、アラバマ州などは「完全に違法」、アリゾナ州などは「医療目的のみ合法」、そしてカリフォルニア州などは「完全に合法」としている。また、アメリカ国内を運転したことがある人は、州によって制限速度が違うことに気が付いたかもしれない。

ところがスポーツ賭博に関しては、PASPAがあるせいで、そのような州の決定権が与えられてこなかった。これが今回の裁判の争点になったわけである。

何はともあれ、スポーツ賭博を禁止していたPASPAは無効となった。これでスポーツ賭博を合法化するかどうかは各州に委ねられた。では、各州はどのように反応したのか。それは次回。

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2017/11/27/Law-and-Politics/Gambling.aspx
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2017/12/11/Law-and-Politics/Gambling.aspx
https://www.cnn.com/2017/12/04/politics/christie-scotus-sports-betting/index.html

投稿者:

akiraasada

テキサス工科大学スポーツマネジメント学部で教員をしています。専門はスポーツマーケティング。特に、人がスポーツファンになるメカニズムを研究しています。

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