Paniniは、スポーツ選手のトレーディングカードを製作・販売する会社である。Paniniは、NFLやNHLといったメジャーリーグやその選手会と契約を結んでおり、そこで活躍する選手の肖像権を使ったさまざまな製品を提供している。
そのPaniniが大手トレーディングカード会社としては初めてeスポーツ業界に参入することになった。
Paniniが今回契約を結んだのは、compLexity Gamingというeスポーツ団体。Call of DutyやFortnite、Maddenといったゲームの大会に参加している。今後PaniniはcompLexity Gamingのトレーディングカードやポスターを製作することになる。
しかしそれだけではない。今回の契約はとても特殊な内容が含まれている。
それがPaniniとcompLexity Gamingによる新Twitchチャンネルの設立である。Twitchとは、テレビゲームの中継に特化したネット中継プラットフォームで、多くのeスポーツファンはTwitch上でeスポーツを観戦している。このTwitch上にPaniniのチャンネルを立ち上げ、その運営をcompLexity Gamingが担当することになったのだ。
先述したようにPaniniは多くのメジャーリーグやその選手会と契約を結んでいる。グッズ製作を通して関係性を築いたチームやアスリートも多くいる。Paniniは今後そういったアスリートにTwitchチャンネル出演を交渉する。
たとえば、NFLやMLBのスター選手がcompLexity Gamingに所属するeスポーツ選手とゲームで対戦するような内容を考えているという。
また、チャンネル視聴者にPaniniが製作した(NFLやNBAの)グッズをプレゼントするなどのクロス・プロモーションも展開する予定。
このチャンネルで放送されたコンテンツはYouTubeやソーシャルメディアでも公開するという。
これまでアメリカでは、スポーツファンとeスポーツファンは交わることのないグループであった。たとえば、MLBチームのファンが同時にNFLチームのファンであることはよくあるが、MLBチームのファンがeスポーツチームのファンであることは珍しかった。
言い換えれば、スポーツチームにとってeスポーツファンはまだアプローチできていない潜在的なファンの集まりなのである。
したがって、近年NBAやMLSといったスポーツリーグがファン拡大のために、eスポーツリーグを立ち上げ、eスポーツファンにアプローチを試みてきた。
今回のPaniniとcompLexity Gamingは、そういったスポーツリーグの試みとは違った形でスポーツファンとeスポーツファンの接点をつくりだす可能性がある。
参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2019/01/14/Esports/Panini.aspx