LearfieldとIMG Collegeという二大マーケティング・エージェンシーの合併の申請を受けた司法省は一年以上をかけてその可否を検討した。そして2018年12月末、司法省が出した結論は「条件付きで可」であった。
司法省が提示した条件は2つ。
まずは「Exclusive negotiating window(独占交渉窓口)」の撤廃。Exclusive negotiating windowは、大学体育局がマーケティング・エージェンシーと契約を結ぶ際によく組み込まれる契約事項で、これによって大学はエージェンシーとの契約が切れる前に、まずそのエージェンシーと契約延長の交渉をする義務が生まれる。
エージェンシーの立場からすれば、一度契約を結んでしまえば、あとはその大学をキープできる可能性が高くなるので競争上の強みとなる。
逆に、新規エージェンシーにとっては厄介なシステムである。いくらクライアントを増やそうと思っても、ほとんどの大学はすでにパートナーがいて、しかもいつの間にか契約が延長されてしまう。交渉の機会さえ訪れないのだ。
公正な競争状態を実現するためにはこの契約事項を禁止することが有効。それが司法省の判断である。
もう一つの条件は「Non-compete clause(競合禁止条項)」の撤廃。Non-compete clauseは雇用主と従業員の間に結ばれる合意で、従業員の転職・独立の自由を制限することが目的である。具体的には、「州内の営業禁止」、「退職後2年間は起業不可」といった地理的・時間的な制限がつくことがある。
Non-compete clauseが撤廃されることで、LearfieldやIMG Collegeで実績を積んだ優秀なスタッフが起業したり転職したりする可能性が生まれる。その結果、業界内の人材の流動性が増し、より公正な競争状態が実現されやすくなる。
LearfieldとIMG Collegeはこれの条件を受け入れ、新会社Learfield-IMG Collegeの設立を発表した。
Learfield-IMG Collegeはどのような革新的なビジネスを展開するのか。Learfield-IMG Collegeの地位を脅かすような新規エージェンシーは現れるのか。今後のカレッジスポーツ・エージェンシー業界に注目である。
参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2017/09/25/Colleges/Learfield.aspx
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2019/01/07/Colleges/Learfield.aspx