カレッジスポーツとオリンピック

2019年1月、アメリカのカレッジスポーツを統括するNCAAとUSOCが異例の契約を結んだ。この契約によって、今後アメリカの大学がオリンピックアメリカ代表のロゴを使用することが可能になる。

従来USOCは、オリンピックロゴの使用権や放映権を販売することで収益を上げてきた。したがって、スポンサー企業ではないカレッジスポーツチームがオリンピックロゴを使用することは禁止されていた。

しかしUSOCの前会長Scott Blackmun氏は、カレッジスポーツ・パートナーシップ部署を立ち上げ、「オリンピックロゴを使用できるのはスポンサー企業だけ」という方針の見直しを図った。

同部署のSarah Wilhelmi氏は、カレッジスポーツが選手育成にもたらす貢献度の大きさを強調する。
「スポンサーシップ以外にもオリンピック・ムーブメントに貢献する方法はあります。我々の調査によれば、NCAAのディビジョン1の大学がオリンピックスポーツ(水泳や陸上など)のために組む予算は、毎年560億ドルに上ります。」
つまり、カレッジスポーツはスポンサー料こそ払っていないが、それに匹敵するほどの貢献をUSOCにもたらしているというのである。

とはいえ、大学がオリンピックスポーツのために組む予算は減少傾向にある。大学スポーツの経済規模は全体でみると大きいが、実際に利益を上げているのはアメリカンフットボールとバスケットボールのみ。あとのスポーツは基本的に赤字である。特にオリンピックスポーツは、大きなチケット収入や放映権収入が望めないため、予算を削減する大学が増えているのである。

今回の合意は、カレッジスポーツにおいてオリンピックスポーツが軽視される傾向に危機感を持ったUSOCが、オリンピックのブランド力を使ってそれに歯止めをかけようとした動きと理解することもできるかもしれない。

今回の契約で使用が許可されたのは、USOCの「Flag and Rings(アメリカ国旗と五輪マークがセットになったロゴ)」。これまでにオリンピアン・パラリンピアンを輩出したすべての大学がこれを使用できる。実際に使用する際には、大学のロゴを左端に、「Flag and Rings」を右端に、そして「Olympians Made Here」というキャンペーン名を真ん中に入れなくてはならない。

大学はこのロゴをあらゆるマーケティング活動で使用することができるが、他企業の名前やロゴを同時に使用することはできない。たとえば、広告の背景に写ったスタジアムの看板に企業名が書いてあるとNGである。

現時点で正式な使用の申請をした大学はないが、USOCによればデューク大学が興味を示しているという。

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2019/01/21/Olympics/USOC-colleges.aspx

投稿者:

akiraasada

テキサス工科大学スポーツマネジメント学部で教員をしています。専門はスポーツマーケティング。特に、人がスポーツファンになるメカニズムを研究しています。

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