2018年12月、FanaticsはeスポーツのOverwatch Leagueと業務提携を結んだ。この契約でFanaticsは同リーグのライセンシーとなり、今後チームや選手の著作権・肖像権を使ったグッズの生産と流通を担当する。
多くのスポーツ組織のグッズビジネスに携わってきたFanaticsにとって、eスポーツリーグとの業務提携は今回が初である。
Overwatch Leagueは2018年に開始したばかりの新興リーグだが、すでにIntelやToyota、T-Mobileといった大手企業とスポンサー契約を結び、試合中継に関してはTwitchと2年9000万ドルでネット放映権契約を締結している。現在、eスポーツ業界で最も注目を集めるリーグの一つである。
Overwatch Leagueは、放映権やスポンサーシップのビジネスが好調な一方、グッズビジネスは未だ発展途上にある(Overwatch Leagueだけでなく、多くのeスポーツリーグ・チームがグッズビジネスには苦戦している)。
Overwatch Leagueのグッズ販売は、これまで同リーグの親会社であるActivision Blizzard社が行ってきたが、同社が持つ施設やノウハウに頼ったビジネスモデルには限界があった。今回のFanaticsとの業務提携は、そういった弱点を克服し、同リーグのグッズビジネスに新たな可能性をもたらすものと言える。
また、Fanaticsとの提携は、Overwatch Leagueのブランディング的にも意味がある。Activision BlizzardのBrandon Snow氏によれば、eスポーツがメジャースポーツとして認識されるためには、従来の限定的なグッズ販売ではなく、様々な場所でeスポーツのグッズが目につく状態にする必要があるという。300を超えるグッズショップ・ショッピングサイトを運営しているFanaticsがOverwatch Leagueのグッズ販売を行えば、その知名度は広く知れ渡り、同リーグのブランドに好影響を与えるだろう。
ちなみに、Overwatch Leagueに所属するチームの中には、独自にグッズ販売を行うチームもあった。たとえば、New York ExcelsiorはUndefeatedとNikeと協同でグッズ販売をしている。今回Overwatch LeagueがFanaticsと契約を結んだことは、そういった各チームが展開するグッズビジネスの自由度を限定することを意味するが、元々グッズ収入が大きくないeスポーツチームにとってそれほど痛手ではなく、今回の契約は好意的に受け止められている。
参考文献:
https://www.engadget.com/2018/12/03/overwatch-league-fanatics-blizzard-merchandise-gear-apparel/
http://www.espn.com/esports/story//id/24200145/sources-paris-guangzhou-teams-expected-join-overwatch-league http://www.espn.com/esports/story//id/22015103/overwatch-league-broadcast-twitchtv-two-year-90-million-deal
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2018/12/03/Esports/Overwatch.aspx