ヤンキースとYES Network②

今回ニューヨーク・ヤンキースが買収を検討しているYES Network(正式名称:Yankee Entertainment and Sports Network)は、2002年3月に誕生した。
元々は1999年にヤンキースがニュージャージー・ネッツ(現ブルックリン・ネッツ)と合同で立ち上げたYankeeNetsという会社から生まれたテレビ局である。

ヤンキースとネッツは、両チームのビジネスを統合することで放映権収入やスタジアム建設の資金援助を拡大できると考えYankeeNetsを立ち上げ(YankeeNetsが両チームを保有する形になり)、YES Networkは両チームの地方中継の放映権を取得した。

ところが、ヤンキース側とネッツ側の経営陣はビジョンを完全に共有できておらず(ある関係者によれば「彼らは同じ言語すら話していなかった」)、YankeeNetsは2003年に解散することになった。

その際、YankeeNetsはYankee Global Enterprisesに名称が変更され、同社はヤンキースとYES Networkの親会社として存続することになった。

その後、21st Century FoxがYES Networkに投資を行い、YES Networkの出資金の80%を21st Century Foxが、残りの20%をYankee Global Enterprisesが保有する形になった。つまり、Yankee Global EnterprisesはYES Networkの親会社ではなくなったのである。

それでもYankee Global EnterprisesはYES Networkの経営に関して一定の影響力を維持していた。またYankee Global Enterprisesは、21st Century Foxとの関係にも満足しており、YES Networkを再び傘下に収めようと動くこともなかった。

ところが、その21st Century FoxがDisneyに買収され、それに伴いYES Networkも売却されることになった。Yankee Global Enterprisesにしてみれば、YES Networkが自社にとって都合の悪い企業に買収されることだけは避けたい。そこでYankee Global Enterprisesは、AmazonやSinclair Broadcast Groupといった信頼できるパートナーになりそうな企業に交渉を試みているのである。

つまり、今回Yankee Global Enterprisesが検討しているYES Networkの買収は「YES Networkを傘下に収めたい!」という積極的な買収というよりは「わけのわからんやつにYES Networkを奪われたくない」という消極的な買収と言える。

参考文献:
http://web.yesnetwork.com/about/index.jsp
http://www.fundinguniverse.com/company-histories/yankeenets-llc-history/
https://www.nytimes.com/2001/09/11/sports/sports-business-yankeenets-getting-own-cable-network.html
https://www.nytimes.com/2003/08/08/sports/sports-business-yankeenets-unravels-and-teams-may-move.html
http://www.espn.com/espn/sportsbusiness/news/story?id=1766675
https://www.forbes.com/sites/barrymbloom/2018/08/28/yankees-intend-to-buy-back-yes-network-after-fox-sale-to-disney/
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2018/12/24/Media/Sports-media.aspx
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2018/11/12/Media/RSNs.aspx
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2018/12/24/Media/Sports-media.aspx
https://www.wsj.com/articles/yankees-in-talks-with-amazon-sinclair-to-bid-for-yes-sports-network-11545993000

投稿者:

akiraasada

テキサス工科大学スポーツマネジメント学部で教員をしています。専門はスポーツマーケティング。特に、人がスポーツファンになるメカニズムを研究しています。

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