スポーツ中継の動向⑨ Facebook

ここまで数回に渡ってBAMTechとESPN+について解説してきた。これらはどちらも長年スポーツ業界にいた組織(MLBとESPN)が立ち上げたものである。

一方で、昨今、これまでスポーツ業界にいなかった企業もスポーツネット中継ビジネスに参入している。

たとえばFacebookは、2018年にMLBと契約を結び、平日のデーゲーム25試合のネット放映権を獲得した。この契約にFacebookは3000万ドルを費やした。

それに続いて、カレッジスポーツのカンファレンスの一つであるConference USAのネット放映権も購入。こちらは契約金100万ドル。

Facebookがスポーツ中継のためにこれだけの額をつぎ込むことはこれまでなく、今回の相次ぐ大型契約は、同社がスポーツ中継に本腰を入れ始めたことを示唆している。

また、これらの契約の前、FacebookはEurosportからPeter Hutton氏をヘッドハンティングしていた。以前の投稿で言及した通り、Eurosportはオリンピックの放映権を持つヨーロッパで有力なメディアで、BAMTechがヨーロッパに進出した際に最初に業務提携を結んだ会社である。つまり、スポーツ中継に関する高い専門性を有した人材をFacebookは獲得したわけである。ここからもFacebookの本気度がうかがえる。

一方で、Facebookが今後どれほどスポーツ中継ビジネスを拡大していくかは不透明である。今回中継したMLBの試合は25試合のみで、しかもコンテンツとしての価値が極めて低い平日デーゲーム。Conference USAもカレッジスポーツのなかでは最も人気のあるカンファレンスとは言い難い。

ある関係者は「Facebookが今回得たのはただの”余り物”だ」と言う。また、スポーツメディアコンサルトのEd Desser氏は「Facebookは存在感を強めてはいるが、たとえばNFLのネット放映権のために20億ドル払うかというと、現時点でそれはないと思う」と話す。

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2018/03/19/Media/Streaming.aspx
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2018/08/20/Media/Sports-Media.aspx

投稿者:

akiraasada

テキサス工科大学スポーツマネジメント学部で教員をしています。専門はスポーツマーケティング。特に、人がスポーツファンになるメカニズムを研究しています。

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