前回はMLBのネット中継戦略を紹介した。同じネット中継でも、NFLの戦略は少し異なる。
2015年、NFLはYahooと契約を結んで、一試合だけYahoo.com上でネット中継を行った。この契約が画期的だったのは、この試合が独占放送であった(つまりテレビでは放送されなかった)という点である。この試合は1500万人に視聴され、その33%は海外での視聴であった。海外人気を重要課題に挙げているNFLは、ネット中継の可能性を好意的に捉えた。
続いて2016年、NFLはTwitterと1年1000万ドルの契約を結び、「Thursday Night Football(木曜日に開催される公式戦。週末の試合に比べ、視聴率が低い)」をTwitter上で中継した。最初の中継では毎分24万3000人の視聴者を記録し、NFLの期待に応えた。
2017年には、Amazonと1年5000万ドルの契約を結び、同じく「Thursday Night Football」をAmazon Prime上で中継した。Amazon Primeは世界200か国で視聴可能であり、NFLは英語圏外のファンのためにスペイン語・ポルトガル語での実況も提供した。
これらの契約に共通するのは短期契約であること。
MLBの方針が「MLBをあらゆるプラットフォームで視聴できるようにする」という積極的なものであるのに対し、NFLはネット中継の効果を慎重に見極めようとしているようである。「まずはYahoo、Twitter、Amazon、いろいろ試してみて、それぞれの良し悪しを明らかにしよう」という印象である。
MLBのレギュラーシーズンが160試合以上あるのに対し、NFLチームは16試合。MLBの視聴率や人気が低迷しているのに対し、NFLは依然好調。こういった要素が、2つの組織のネット中継戦略に違いをもたらしているのかもしれない。
参考文献
https://www.cnbc.com/2015/10/26/yahoo-attracts-15m-viewers-for-live-streamed-nfl-game.html
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2016/09/26/Media/Sports-Media.aspx
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2017/04/10/Media/NFL-Amazon.aspx
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2017/09/11/Media/Amazon.aspx
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