スポーツ中継の動向③ MLBのネット中継戦略

2017年7月、Discovery CommunicationsのDavid Zaslav氏は北米四大スポーツリーグのコミッショナーにインタビューを行った。

インタビューの中で、Zaslav氏は「人々がどのように映像コンテンツを楽しむかが変わってきている。彼らの行動パターンが変わり、利用するプラットフォームが変わってきている。これが四大スポーツリーグがこれから直面する問題である」と問題提起をした。

これに対して、MLBコミッショナーのRob Manfred氏は「従来のケーブルテレビはこれから先もなくなることはない。同じ規模で残ることはないかもしれない。それでも、なくなることは決してない」とした上で「MLBをあらゆるプラットフォームで視聴できるようにしなくてはならない」と語った。

他リーグのコミッショナーもほぼ同じ意見で、簡単にまとめれば「ケーブルテレビビジネスはこれからも大事。しかしそれ以外のスポーツ中継方法も積極的に探っていく」という結論であった。

ここで重要になるのが「テレビ以外の中継方法」が具体的に何を指すか、という点である。これはもちろんネット中継を指すのだが、ネットと言っても様々である。

たとえばMLBは、自らが運営するMLB.TVで2002年からネット中継を行ってきた。このMLB.TVでは、顧客から会費(年18~25ドル)を徴収することで利益を上げている。Netflixと同じようなビジネスモデルである。

これに加え、2017年5月からはFacebookとTwitterと契約を結び、公式戦を中継し始めた。MLB.TVと異なり、Facebook・Twitter上での中継はすべての人に無料で公開されている。その代わり、MLBはFacebookとTwitterから放映権料を徴収している。従来の放映権ビジネスに似たビジネスモデルであると言えるだろう。

さらにMLBは2018年11月、動画配信会社のDAZNとの契約を発表した。2016年設立のDAZNは、日本ではJリーグのネット中継を行っているが、北米では「格闘技のネット中継チャンネル」というイメージが強かった。今回のMLBとの契約は、DAZNが格闘技に留まらず、北米スポーツ業界で存在感を強めていこうとする姿勢の表れととれる。

一方で、MLBは、より多くの方法で試合を中継できるようになる。契約に際してManfred氏は「この度の契約は、MLBをすべてのプラットフォームで視聴できるようにするという取り組みの一環である」と述べた。

参考文献
http://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2017/07/31/Media/Sports-media.aspx
https://www.mlb.com/live-stream-games
https://www.forbes.com/sites/maurybrown/2017/05/25/live-mlb-games-begin-streaming-to-twitter-on-tuesdays-comes-on-heels-of-facebook-deal/#3433619b5f0d
https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/16/102400053/012000014/
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2018/11/19/Media/MLB-DAZN.aspx

投稿者:

akiraasada

テキサス工科大学スポーツマネジメント学部で教員をしています。専門はスポーツマーケティング。特に、人がスポーツファンになるメカニズムを研究しています。

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