スポーツ中継の動向② コード・カッティング

前回の投稿では、スポーツチームの放映権収入が急増している背景として、放映権をめぐる放送局間の競争激化を挙げた。今日はその影響について見ていきたい。

放映権を獲得するためにスポーツリーグ・チームに大金を支払った放送局は、当然それに見合った収益を上げなくてはならない。具体的には、顧客に要求する月々の受信料を上げることで収益拡大を狙う。

実際、ケーブルテレビの料金は上昇しており、2000年に月額平均60ドルであった料金は2016年に100ドルを超えた。

しかしその結果として、近年アメリカではケーブルテレビの契約をしない人が増加している。Statistaの調査によれば、ケーブルテレビの契約を結ばない世帯は、2010年から2017年の間に123万世帯から250万世帯に倍増しており、2020年には550万世帯に達する見通しであるという。

この現象は、テレビのコードを切るという意味で「コード・カッティング(Cord Cutting)」と呼ばれる。コード・カッティングの結果、たとえばESPNは、2011年から2017年の間に、1300万世帯もの受信契約者を失った。

では、ケーブルテレビとの契約を解除した人々はどこに行ったのか?
NetflixやAmazon Prime、Huluなどの動画配信サービスである。

たとえばNetflixは、ここ数年急速に会員数を増やしており、現在では世界で1億人以上の会員がいる。テレビと違い、自分の好きなときに好きなものが見られるNetflixは、現代人のライフスタイルに合っているとしばしば指摘される。

さらに特筆すべきはその料金。ケーブルテレビが月額平均100ドルを超えるのに対し、Netflixの会員費は高いものでも月額15ドルほど。これだけの差があれば、ケーブルテレビの契約を切って、動画配信サービスに乗り換える人が増加するのも理解できる。

この傾向はスポーツ組織も認識しており、テレビ以外の方法でスポーツ中継をする手段を模索している。それについてはまた次回。

参考文献
https://www.statista.com/statistics/497237/number-non-pay-tv-households-usa/
https://www.statista.com/statistics/482958/number-cord-cutting-tv-households-north-america/
https://www.fiercevideo.com/cable/pay-tv-bills-up-74-since-2000-leading-cause-cord-cutting-kagan-says
https://www.businessinsider.com/espn-losing-subscribers-not-ratings-viewers-2017-9
https://www.recode.net/2018/1/22/16920150/netflix-q4-2017-earnings-subscribers

投稿者:

akiraasada

テキサス工科大学スポーツマネジメント学部で教員をしています。専門はスポーツマーケティング。特に、人がスポーツファンになるメカニズムを研究しています。

“スポーツ中継の動向② コード・カッティング” への2件のフィードバック

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