現在Fanaticsは、NFL、NBA、MLB、NHLといったメジャーリーグとライセンシング契約を結んでいる。
NBAの場合、正規ユニフォームのライセンシーはNikeで、レプリカユニフォームのライセンシーがFanaticsである。Nikeが提供する正規ユニフォームは200ドルするが、 Fanaticsが提供するレプリカユニフォームは70ドル程度。NBAのユニフォームの売り上げは、95%以上がレプリカユニフォームであり、 Fanaticsはこのマーケットを獲得したことになる。
FanaticsはNHLのレプリカユニフォームのライセンシーでもある。2015年にNHLと16年間契約を結んだFanaticsは、まず数ヶ月をかけて顧客調査を行った。
同社のRaphael Peck氏は「当時販売されていたユニフォームは、選手が着ているのと全く同じものか、ちょっとだけ安くしたものしかありませんでした。グッズの製作段階でファンの意見が全く取り込まれていなかったんです」と言う。「まずは、ユニフォームのどの要素がファンにとって最も重要かを調べました。その結果、ファンはもう少し軽くて洗濯できるものを求めていることがわかりました。ごわごわしていない、直に着たとしても着心地がいいようなもの。その意見に基づいて、柔軟性の高い新素材を使うことにしました」。
さらに、Peck氏は「ファンにとって今欲しいものがすぐに手元に届かないのは最悪でしょう」と言い、流通経路の拡大も課題に挙げた。「数年前NBAでジェレミー・リンがフィーバーとなったときのように、だれか流行の選手が現れると、多くの人は今すぐにその選手のユニフォームが欲しくなる。そのニーズに応えるためには、24時間年中無休で商品を販売する必要がある。従来の流通方法ではそれが不可能でした」。
これらの発言から、Fanaticsが顧客第一に徹していることがわかる。そしてそれを実際のビジネスに反映できているのは、Fanaticsが縦型生産モデルを拡大してきたからに他ならない。
Fanaticsは2020年からMLBのレプリカユニフォームの製造も開始する見込みであり、同社がどのようなデザインでどのように販売するのか注目される。
参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2017/01/16/Marketing-and-Sponsorship/Fanatics.aspx
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2017/07/10/Marketing-and-Sponsorship/Fanatics.aspx