スポーツリーグ・チームがグッズを販売する際、自らグッズを生産することは稀で、通常グッズ製作会社とライセンシング契約を結ぶ。
人気チームの場合、ライセンシング契約の申し込みが殺到するため、その申し込みを精査する代理店(IMG LicensingやLearfieldなど)が間に入ることもある。
ライセンシング契約を結んだグッズ製造会社(ライセンシーと呼ばれる)は、生産したグッズを卸売業者に出荷し、卸売業者はそれを小売店に出荷、最終的に小売店が顧客にグッズを販売する。これが一般的なグッズの流通経路である。
ところが、近年、その一般的な流通モデルに改革が迫られている。
NFLのChris Halpin氏は「NFLのグッズの需要は落ち込んでいない。しかし伝統的な小売業の状況は厳しい」と話す。「我々は、NFLのライセンシーに、卸売・小売業者に頼るのではなく、グッズを顧客に直接届けるシステムを構築するように働きかけている。それを実現した企業が、大きな需要をつかむことができる」。
これを実現しているのが、Fanaticsである。
Fanaticsは元々小さなeコマース会社であったが、それを2011年に買収したMichael Rubin氏が会社を抜本的に改革。小売だけでなく自らグッズを生産しそれを顧客に直接販売するようになった。
Fanaticsはこれを「Vertical Manufacturing Model(縦型生産モデル)」と呼んでいる。
縦型生産モデルを採用することによって、Fanaticsは流通の過程をすべてコントロールでき、注文を受けてから素早く商品を発送できるようになった。たとえば、ある選手が突然移籍しても、その選手の新しいユニフォームをいち早く生産し販売できる。また、仲介業者が手数料を取ることもないので、比較的安値で商品を提供することもできる。
Fanaticsは北米のスポーツ業界で今最も注目されている企業と言っても過言ではない。今回の連載ではこのFanaticsにスポットを当てたい。
参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2018/02/12/Leagues-and-Governing-Bodies/SB-merch.aspx
http://fanaticsinc.com/about/our_history/
http://www.espn.com/mlb/story/_/id/18208401/mlb-announces-uniform-deal-armour-fanatics-starting-2020
https://www.recode.net/2018/5/23/17380964/nfl-nike-fanatics-sports-gear
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2017/07/10/Marketing-and-Sponsorship/Fanatics.aspx
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