「Grab and Go」、急速に普及中

現在アメリカでは「Grab and Go」という概念がスタジアムのコンセッションに広く応用されている。

「Grab and Go」は直訳で「つかんで、行く」。顧客はすでに出来上がっているフード・ドリンクを自ら手に取ってレジで会計する。コンビニのようなイメージだ。スタジアムによっては、会計までセルフで済ますこともできる。

注文を受けてからフード・ドリンクを準備する従来のコンセッションに比べ、より素早く商品を提供できるのが一番の利点である。Food Service Matters社のMike Plutino氏によれば「Grab and Goコンセッションは、ピーク時でも1、2分で買い物が終わる。従来のコンセッションでは5~12分かかっていた」。

コンセッションの管理をするLegends社は、クライアントであるヤンキースタジアム、エンゼルスタジアム、メモリアルコロシアムといったスタジアムにGrab and Goコンセッションを導入。ヤンキースタジアムには過去2年間に8か所のGrab and Goコンセッションを新設した。

アウディフィールド、キャピタルワンアリーナ、ペプシセンター、ミニッツメイドパーク、そしてカウフマンスタジアムは、Mashgin社が提供する3D技術を応用したユニークなGrab and Goコンセッションを設置している。

この3D技術は、レジに置かれたフード・ドリンクをバーコードなしで認識する。この新技術はよりスムーズな会計を可能にするだけでなく、ファンにユニークなスタジアム体験を提供する。

このようにGrab and Goの概念自体はシンプルだがその応用方法はさまざまである。

一方で、Grab and Goコンセッションに特有の課題もある。

まずは、在庫管理。顧客に素早くフード・ドリンクを提供するためには十分な量を用意しておく必要があるが、逆に用意しすぎてしまうと出来立てのフード・ドリンクを提供できなくなってしまう。

適度なフード・ドリンクを用意するためには、試合状況や天気といったデータに基づいて顧客の購買行動を予測するようなシステムを構築することが望まれる。

もう一つの課題が雇用問題。Grab and Goコンセッションは、より効率的な運営を実現する一方で、必要なスタッフの数を減少させてしまう。人件費を削れるという意味では利点ともとれるが、アメリカのスタジアムにおいては話が異なる。アメリカでは、スタジアム建設のために、州や郡から資金援助を受けることが多い。チームは納税者の理解を得るために「新スタジアムは雇用を創造し、地域に貢献する」と主張する。ところが実際は十分な雇用の機会を提供していないとなれば、地元住民と良好な関係を維持することが難しくなる。

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2018/11/12/Facilities/GrabNGo.aspx

投稿者:

akiraasada

テキサス工科大学スポーツマネジメント学部で教員をしています。専門はスポーツマーケティング。特に、人がスポーツファンになるメカニズムを研究しています。

“「Grab and Go」、急速に普及中” への2件のフィードバック

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