NBA、バドワイザーとネット中継契約

先週、NBAはバドワイザーとストリーミングに関するユニークな契約を結んだ。

バドワイザーと言えば、NBAを初め数多くのスポーツリーグ・チームとスポンサー契約を結んでいるが、今回の契約はストリーミングに関する契約である。

具体的には、バドワイザーのプラットフォーム(YouTubeやSNS等)上でNBAの試合を中継することが合意された(ただしブラジル国内でのみ視聴可能)。

早速、先週のフィラデルフィア・セブンティシクサーズ対ダラス・マーベリックスがバドワイザーのYouTubeチャンネルで中継された。

今後バドワイザーは、ポルトガル語での中継やブラジルの有名人を起用した番組作りなどを行っていく方針だという。

NBAラテンアメリカ担当者は「普通のNBA中継とは全く違った雰囲気になります。『ファンを我々のところに惹きつける』のではなく『ファンがいる場所に我々が行く』というイメージです」と言う。

今回の契約で認められるのはブラジル国内の視聴のみだが、同担当者によれば、メキシコ、アルゼンチン、チリなどでも同様の契約に興味を示す企業があると言う。

参考文献:
https://www.sportspromedia.com/news/nba-budweiser-brazil-live-stream-games

レイカーズ、Sportfiveと業務提携

今月17日、ロサンゼルス・レイカーズは、スポーツマーケティング会社のSportfiveと業務提携を結んだことを発表した。

Sportfiveの主な役割は、レイカーズの新しいユニフォームスポンサーを見つけること。

現在eコマース会社のWishがレイカーズのユニフォームスポンサーとなっているが、同社との契約は今シーズンで終了する。

現在Wishは年間120~140万ドルの契約金を支払っていると言われているが、レイカーズによれば、ユニフォームスポンサーシップがもたらすメディア価値は現在2億ドル近くまで上がっているという。

その価値に見合った大型契約を結ぶ相手を見つけるのがSportfiveの仕事である。

加えて、Sportfiveには海外スポンサーを見つける役割も期待される。

以前の投稿で説明した通り、NBAの各チームは最大3社と「国際スポンサー契約」を結ぶことが許されている。

Sportfiveの前身はドイツのマーケティング会社であり、世界中のスポーツビジネス界にネットワークを持っている。それを生かしたスポンサーセールスが同社の強みである。

ちなみに、Sportfiveは昨年10月にもシカゴ・ブルズと同様の契約を結んでいる。

参考文献:
https://www.sportspromedia.com/news/la-lakers-new-jersey-patch-sponsor-sportfive-wish
https://www.cnbc.com/2021/02/17/lakers-hire-agency-sportfive-to-find-new-jersey-sponsor-valued-at-nearly-200-million.html

NIL問題と最高裁の判断④

2020年12月16日、連邦最高裁判所は「アルストン訴訟」を審議することを発表した。

最高裁がカレッジスポーツの反トラスト法に関する訴訟を扱うのは1984年以来となる。

この訴訟自体はNIL問題とは関係ないが、最高裁の判決がNIL問題に及ぼす影響も否定できない。

専門家のベアード・フォゲル氏は「最高裁の判決はアマチュアスポーツに大きな影響を及ぼすでしょう。NCAAと各大学のビジネスモデル全体にもインパクトがあるはずです」は言う。

ボイシ州立大学のサム・エーリック教授は、もしNCAAの主張が認められればここまで進展してきたNIL規則改定が振り出しに戻る可能性が出ると話す。

注目の判決は今年6月に下される。

参考文献:
https://www.washingtonpost.com/politics/courts_law/supreme-courtncaa/2020/12/16/90f20dbc-3fa9-11eb-8db8-395dedaaa036_story.html
https://www.washingtonpost.com/sports/2020/12/31/ncaa-supreme-court-compensation/
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2021/02/08/Law-and-Politics/NCAA-Supreme-Court.aspx

NIL問題と最高裁の判断③

ウエストバージニア大学時代のショーン・アルストン氏

2014年に元カレッジフットボール選手のショーン・アルストン氏が起こした、いわゆる「アルストン訴訟」では、学生アスリートが大学から受け取ることのできる便益が争点となった。

それまでNCAAが認めていたのは奨学金とその他の受講料のみ。

これに関して原告側は「NCAAの規則は独占禁止法に違反している。どのような便益を学生アスリートに与えるかは各大学が自由に決定できるはずだ」と主張した。

2019年3月、カリフォルニア州の地方裁判所は、原告側の主張を概ね支持。

学生アスリートに与えられる便益を大学教育に関係する品々(コンピューター、科学器具、楽器など)まで拡大するべきという判決を下した。

NCAAはこの判決を不服として控訴したが、2020年5月、控訴審が第一審の判決を支持した。

ここまではオバノン訴訟と同じ流れだが、違うのはここから。

控訴審の判決にも納得のいかないNCAAが上告をしたところ、最高裁がこれを審議すると発表したのである。

オバノン訴訟ではNCAAの上告を棄却した最高裁が、なぜ今回は受け入れたのか。そこにはどのような意図があるのだろうか。

つづく。

参考文献:
https://www.si.com/college/2018/09/04/alston-v-ncaa-trial-news-updates-ncaa-cost-attendance
https://www.espn.com/college-sports/story/_/id/29191519/appeals-court-upholds-ruling-colleges-pay-all-ncaa-athletes-education-expenses

NIL問題と最高裁の判断②

カレッジスポーツのNIL問題が大きな注目を浴びるきっかけとなったのが、エド・オバノン氏が2009年に起こした訴訟である。

この訴訟で問題となったのが、NCAAによる学生アスリートの名前・肖像の商用利用(ビデオゲーム制作など)であった。

「NCAAは選手の名前・肖像を使って収益を上げていながら、それを一切選手に還元していない。これは反トラスト法・独占法違反だ」というのが原告の訴えである。

2014年、カリフォルニア州の地方裁判所は原告の訴えを認めた。その後NCAAは控訴・上告したが、最後まで判決が変わることはなかった。

このオバノン訴訟を契機に、NCAAの規則に関する訴訟が続いた。

その代表的なものがショーン・アルストン氏の起こした訴訟で、こちらもカリフォルニア州の地方裁判所が舞台となった。

そしてこの「アルストン訴訟」こそ、現在アメリカスポーツ業界で話題となっている訴訟なのである。

つづく。

参考文献:
https://www.lexisnexis.com/community/casebrief/p/casebrief-o-bannon-v-ncaa
https://www.washingtonpost.com/politics/courts_law/supreme-courtncaa/2020/12/16/90f20dbc-3fa9-11eb-8db8-395dedaaa036_story.html

NIL問題と最高裁の判断①

ここ数年のアメリカスポーツ業界で最もホットなトピックの一つが「学生アスリートが自らの名前や肖像権を使用して収入を得ることは認められるべきか」という問題である。

ちなみに、この問題はName(名前)、Image(イメージ)、Likeness(肖像)の頭文字をとって「NIL問題」と呼ばれることがある。

現在、この問題に関連する重要な裁判が連邦最高裁で行われているのだが、その内容が大きな注目を集めている。

その重要性と今後の流れを理解するために、今週はこのトピックを掘り下げていきたい。今日は、ここまでの簡単なおさらいをする。

・NCAAはアマチュアリズムの精神に基づき、学生アスリートが給与を受け取ることを禁止してきた。
・カレッジスポーツが巨大なビジネスとなり、NCAAが毎年何十億ドルという収入を上げている一方、それが一切選手に還元されないことに疑問や批判の声が集まり始めた。

・2019年9月、カリフォルニア州が「カリフォルニア州の大学に通う学生アスリートは、企業とスポンサー契約を結び、収益を上げる権利が認められる」という州法を成立させた。
・フロリダ州やイリノイ州などの州議会、さらには合衆国議会でもカリフォルニア州と同様の法案が審議され始めた。
・これを受け、2019年10月、NCAAは学生アスリートのスポンサー契約を解禁する方針を発表した。
・現在NCAAは新規約の内容を議論している。

次回の投稿では、現在注目を集めている裁判について解説する。

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2021/02/08/Law-and-Politics/NCAA-Supreme-Court.aspx

TikTok、UEFA Euro 2020のスポンサーに

昨年開催予定でありながらコロナ禍の影響で今年6月に延期されたUEFA Euro 2020のスポンサーにTikTokが加わった。

この契約に基づき、TikTokはヨーロッパで放送される試合中継での露出や、UEFAが持つ膨大な過去の試合映像をコンテンツ制作に使用する権利が与えられる。

またUEFAもEuro 2020の公式TikTokアカウントを立ち上げ、大会の裏側や試合の映像などを投稿していく。

その他、TikTokとUEFAは「ハッシュタグ・チャレンジ」や「TikTok LIVEs and Sounds」といった様々な共同プロジェクトを企画している。

ちなみにTikTokの他には、コカ・コーラ、ハイネケン、Takeaway.com、そしてVivoが大会スポンサーとなっている。

参考文献:
https://www.uefa.com/insideuefa/about-uefa/news/0266-118d1c6ac1b5-4ffce41d08de-1000–tiktok-becomes-official-uefa-euro-2020-sponsor/

NFL「モバイルゲーム開発大会」開催

NFLはSkillz社と共同で、モバイルゲーム開発者向けのイベントを開催する(開催時期は2021年4月以降)。

NFLのモバイルゲームと言えばEA Sportsが制作するMaddenシリーズのモバイル版がすでにあるが、既存のゲームと一線を画した新しいモバイルゲームのアイデアを募る。

参加者は実際にモバイルゲームを制作・提出し、優勝者にはNFLの名前やロゴを使用する権利が与えられる。

アメリカでは、昨年のロックダウン時に29億人がモバイルゲームをプレーした。また、2020年に消費者がモバイルゲームに費やした金額は総額81億ドルに達した。

このように急成長するモバイルゲーム産業における存在感を強め、新たな収入源を獲得することがNFLの狙いである。

参考文献:
https://www.sportspromedia.com/news/nfl-skillz-partnership-new-mobile-game-development-esports

EA Sports、カレッジフットボールのゲーム制作を再開

今週火曜日、大手ゲーム制作会社のEA Sportsは、2013年を最後に制作を休止していたカレッジフットボールのゲーム制作を再開することを明らかにした。

カレッジフットボールはEA Sportsが制作するゲームのなかでも人気の高いコンテンツであったが、2013年にNCAAおよび複数のカンファレンスがライセンス契約の更新を断り、ゲーム制作が止まっていた。

それらの団体が今回改めてEA Sportsとライセンス契約を結ぶ目途が立ち、カンファレンスの名前やロゴが使用可能になったことで、ゲーム制作が再始動した。

テレビゲームといえば、以前EA Sportsは学生アスリートの名前・肖像権を使用していたことで訴訟の対象となったが、新作ゲームには実在する学生アスリートは使用されない予定である。

一方で、NCAAは近く学生アスリートの名前・肖像権に関する規則を変更する予定である。

学生アスリートがゲーム会社と契約を結び収入を得ることが認められれば、EA Sportsが制作するカレッジフットボールゲームに実際の選手の名前や顔が登場することもあり得る。

なお、発売日などの詳細は一切未定である。

参考文献:
https://www.espn.com/college-football/story//id/30821045/school-plan-ea-sports-do-college-football https://www.espn.com/college-football/story//id/30820886/everything-need-know-return-ea-sports-college-football-video-game

NBC Sports Network、2021年末で営業終了②

前回はNBC Sports Network(NBCSN)閉鎖の背景にあるメディア界の大きな流れについて解説した。

今日は、その流れをよりよく理解する一例としてNBCSN閉鎖の詳細を見ていきたい。

NBCSNは現在NHL、NASCAR、プレミアリーグ、IndyCarといったスポーツリーグ・イベントの放映権を保持しているが、今後その一部は姉妹チャンネルのUSA Networkに移される。

USA Networkは8600万世帯で視聴されている人気チャンネルで、ニュース、ドラマ、映画、スポーツなど様々な番組を手広く放送している。

親会社のNBCUniversalとしては、NBCSNのコンテンツをUSA Networkに統合することで視聴者数をさらに増やすことを期待している。

さらに、NBCUniversalは2020年7月にPeacockというストリーミングサービスを開始しており、NBCSNのコンテンツの一部はこちらにも移される。

LHB Sportsのリー・バーク氏は「ここ20~30年、スポーツ専門チャンネルの人気拡大に伴い、スポーツコンテンツはスポーツ専門チャンネルに集中していきました。それが今ストリーミングに移行しつつあるということです」と説明する。

ストリーミングの魅力は「好きな時に、好きなものを、好きなだけ」見られることにある。契約者を増やすためには、見られるコンテンツを充実させる必要がある。

NBCSNが現在保有しているスポーツコンテンツは、その目的を果たすためにうってつけである。

参考文献:
https://www.nbcsports.com/chicago/nbc-sports-network-will-shut-down-nbc-sports-chicago-not-impacted
https://www.cnn.com/2021/01/22/media/nbc-sports-network-shut-down/index.html